サッカレーのヘンリー・エズモンド
サッカレーと18世紀
ウィリアム・メイクピース・サッカレー(1811-1863)は、18世紀のイギリスに強い関心を寄せていました。彼の作品には、この時代への愛情と、その時代の人々や出来事に対する深い理解が表れています。サッカレーは幅広い18世紀の文学を読み、その知識を自身の作品に織り込みました。
ヘンリー・エズモンドの歴史的背景
「ヘンリー・エズモンド」(1852)は、18世紀初頭のイングランドを舞台にした歴史小説です。この小説は、アン女王の治世からジョージ2世の治世初期までの激動の時代を背景に、ヘンリー・エズモンドの人生と恋を描いています。サッカレーはこの時代を綿密に描写し、登場人物たちを当時の歴史的事件に巻き込みます。
語り口と語り手
「ヘンリー・エズモンド」は、一人称で書かれた回想録という形をとっています。主人公のヘンリー・エズモンドが、自身の波乱万丈の人生を振り返り、読者に語りかけるという設定です。サッカレーは、18世紀の文語を巧みに模倣し、リアリティを高めています。