サッカレーのバリーリンドンを面白く読む方法
1.風刺小説としての側面を楽しむ
「バリー・リンドン」は、サッカレーの代表作とされながらも、読みにくさを感じる読者が少なくありません。それは、18世紀のイギリスを舞台に、貴族社会の虚飾や人間の本性を風刺という形で描いているためです。主人公であるバリー・リンドンは、成り上がり者の俗物であり、読者にとって共感しやすいキャラクターではありません。しかし、彼の視点を通して語られる物語は、当時の社会や人間模様を滑稽に、そして皮肉たっぷりに描き出しています。
2.皮肉とユーモアを読み解く
サッカレーの巧みな筆致は、一見すると平凡な描写の中にも、鋭い皮肉とブラックユーモアを潜ませています。例えば、バリーが自らの悪事を正当化しようとすればするほど、その滑稽さが際立ち、読者には彼の本質が見えてきます。また、作中に登場する貴族たちの会話や行動は、一見上品でありながら、その内面には虚栄心や打算が隠されています。こうした皮肉とユーモアを読み解くことで、「バリー・リンドン」はより深く理解できる作品となるでしょう。
3.当時の社会背景を理解する
「バリー・リンドン」は、18世紀のイギリス社会を舞台にしています。階級社会が色濃く残る時代背景、当時の文化や価値観を理解することで、物語はより鮮やかに蘇ります。例えば、バリーが社交界での成功を夢見て、貴族の称号を得るために奔走する姿は、当時の社会における階級の壁の高さを物語っています。
4.映画版との比較を楽しむ
スタンリー・キューブリック監督によって映画化された「バリー・リンドン」は、原作の雰囲気を忠実に再現した傑作として知られています。小説を読んだ後に映画を観ることで、サッカレーの文章から想像した世界が、キューブリックの映像美によってどのように表現されているのかを楽しむことができます。また、映画と小説の表現の違いを比較してみるのも、新たな発見につながるでしょう。