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サッカレーのバリーリンドンの構成

サッカレーのバリーリンドンの構成

1. ピカレスク小説の構成

サッカレーの原作小説『バリー・リンドン、幸運の人』は、主人公レドモンド・バリーが語り手を務める一人称のピカレスク小説の形式をとっています。ピカレスク小説の特徴である放浪と冒険、社会の様々な階層への潜入、悪漢小説的な要素などが、バリーの波乱万丈な人生を通して描かれます。

2. 映画における章立て

キューブリックは原作小説の構成を踏襲し、映画を12の章に分け、それぞれにタイトルを付け加えています。各章は主人公バリーの人生における特定の時期や出来事を描き、時系列に沿って展開されます。各章の冒頭には、まるで18世紀の小説のように、その章の内容を要約した文章が挿入されます。これは、原作小説の一人称による回想形式とは異なり、三人称による客観的な視点から物語を俯瞰する効果を生み出しています。

3. 絵画的な構図と音楽

キューブリックは、映画を構成する上で、絵画的な構図と音楽を効果的に利用しています。映画全体を通して、18世紀のヨーロッパ絵画を思わせる構図が意識的に用いられ、登場人物たちはまるで絵画の中から抜け出してきたかのような存在感を示します。また、音楽は時代背景に合わせて、バッハ、ヘンデル、モーツァルトなどのクラシック音楽が使用され、物語の雰囲気を盛り上げます。特に、シューベルトのピアノ三重奏曲第2番は、映画全体を通して繰り返し使用され、バリーの運命と深く結びついています。

4. ナレーション

映画では、全編を通してナレーションが挿入され、物語の進行役を担っています。ナレーションは、登場人物の心情や状況を説明するだけでなく、皮肉やユーモアを交えながら客観的な視点を提供します。このナレーションによって、観客はバリーの一人称視点に限定されることなく、より広い視野から物語を捉えることができます。

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