サッカレーのバリーリンドンの光と影
光と影の演出
スタンリー・キューブリック監督作品「バリー・リンドン」は、18世紀のヨーロッパを舞台に、アイルランドの青年レドモンド・バリーの野心と転落を描いた作品です。キューブリックは、この映画の時代背景を忠実に再現するため、そして独特の映像美を実現するために、光と影を効果的に利用しています。
映画の多くのシーンは、自然光のみで撮影されています。これは、当時の室内照明の暗さを再現するためだけでなく、登場人物たちの感情や状況をより劇的に浮かび上がらせる効果も生み出しています。例えば、バリーと最初の妻との結婚式のシーンでは、窓から差し込む光と影が、二人の未来への期待と不安を暗示的に表現しています。
一方、キューブリックは、キャンドルライトのシーンでは、NASAのために開発された特殊なレンズを使用し、ろうそくの光だけで撮影するという、当時としては革新的な手法を採用しました。この手法により、18世紀の貴族社会の豪華絢爛さと、その背後に潜む闇や陰謀が、より鮮明に描き出されています。