サガンの悲しみよ、こんにちは
考察対象：セシルという少女のひと夏の経験と成長、周囲の人間関係における選択
フランソワーズ・サガン著「悲しみよ、こんにちは」の主人公セシルは17歳の少女です。奔放な生活を送る父レイモンと、その愛人エルザとの気ままな日々の中で、セシル自身も退屈な勉強や窮屈な生活を嫌い、享楽的な日々を送っていました。
しかし、父の婚約者としてアンヌが現れたことをきっかけに、セシルの周りの環境は大きく変化していきます。
アンヌは教養があり、聡明で思慮深い女性で、セシルとレイモンに対して規律正しい生活を促そうとします。セシルはそんなアンヌに反発し、父とアンヌの関係を壊そうと画策します。
セシルは、アンヌの存在によって、それまで当たり前だった自由奔放な生活や、父との親密な関係が失われることを恐れていたと考えられます。
また、自分とは対照的なアンヌの知性や品格に、無意識のうちに劣等感を抱いていた可能性も考えられます。