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ゴーゴリの死せる魂の構成

ゴーゴリの死せる魂の構成

構成の特徴

『死せる魂』は、未完の大作として知られています。ゴーゴリは、ダンテの『神曲』を模倣し、構想では「地獄」「煉獄」「天国」の3部構成、全15章からなる作品となる予定でした。しかし、実際に完成したのは「地獄」編にあたる第1部のみで、第2部はほぼ全体が破棄され、一部のみが改稿の上で発表されました。第3部は草稿の段階で焼却されたとされ、現存していません。

第1部の構成

第1部は、チチコフという主人公が、ある街にやってきて、地主たちから死んだ農奴(死せる魂)を買い集める様子が描かれます。

* **第1章:** チチコフの街への到着と、街の有力者たちとの面会。
* **第2~6章:** チチコフが、マニロフ、コロボチカ、ノздレフ、ソバケヴィチ、プリューシキンという5人の地主を訪ね、死せる魂の売買を持ちかけるエピソードが中心。各章は、それぞれの地主のキャラクターを際立たせることに重点が置かれた構成。
* **第7~10章:** チチコフの目的が街の人々に知れ渡り、様々な憶測や噂が広まる様子が描かれます。
* **第11章:** チチコフの正体についての謎が提示されます。

このように、第1部は、チチコフの行動と、彼を取り巻く人々の反応を対比させることで、ロシア社会の風刺画を描き出す構成となっています。

第2部の構成

第2部は、チチコフが詐欺師として告発されそうになるものの、偽造パスポートを用いて逃亡し、その後、改心して理想の地主になろうとする姿が断片的に描かれます。

* **第1部で破棄された部分と重複する箇所が多く、構成は複雑です。**
* **全体として、チチコフの道徳的な変容がテーマとなっていますが、未完であるため、その結末は不明です。**

未完に終わった第3部

ゴーゴリは、第3部でチチコフが最終的に魂の救済に至る過程を描こうとしていましたが、その具体的な内容は明らかになっていません。

* **一部資料では、第2部の改稿と並行して執筆が進められていた形跡があるものの、大部分が破棄されたとされています。**

『死せる魂』は、その未完性故に、多くの謎を残す作品です。ゴーゴリの意図した構成の全貌は不明ですが、残された部分だけでも、ロシア文学史上に燦然と輝く傑作として、今日まで読み継がれています。

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