ゴーゴリの死せる魂の名前
「死せる魂」
「死せる魂」は、作品中でチチコフが買い集める「死んだ農奴」を指します。 帝政ロシアでは、農奴は「魂」とも呼ばれていました。 チチコフは、地主たちから、すでに死亡しているが、まだ戸籍上は生きているとされている農奴を買い取っていきます。 この「死せる魂」は、物語の核となるモチーフであり、当時のロシア社会の腐敗や道徳の崩壊を象徴しています。
チチコフ
主人公の名前。 その由来や意味について、ゴーゴリ自身は明言していません。 しかし、チチコフという名前の響きが、ロシア語で「静か」「こそこそ」といった意味を持つ単語を連想させるという指摘があります。 これは、チチコフの狡猾で目的のためには手段を選ばない性格を反映していると考えられます。
マニロフ
チチコフが最初に訪れる地主。 名前はロシア語で「魅惑的な」「魅力的な」を意味する「манить」（manit’）という動詞から派生した可能性があります。 しかし、実際には、空想的で現実を見ようとしない人物として描かれています。
コロボチカ
チチコフが2番目に訪れる地主。 名前はロシア語で「小さな箱」を意味する「коробочка」（korobochka）に由来します。 これは、彼女のケチで閉鎖的な性格を表しています。
ノздレフ
チチコフが3番目に訪れる地主。 名前はロシア語で「鼻孔」を意味する「ноздря」（nozdrya）に由来します。 彼は、嘘や大袈裟な話を好む、傲慢で無責任な人物として描かれています。
ソバケヴィチ
チチコフが4番目に訪れる地主。 名前はロシア語で「犬」を意味する「собака」（sobaka）に由来します。 彼は、粗野で欲深い人物として描かれています。
プリュシキン
チチコフが最後に訪れる地主。 名前はロシア語で「くっつく」「執着する」を意味する「прилипать」（prilipat’）という動詞から派生した可能性があります。 彼は、極度の吝嗇家で、ゴミ屋敷に住んでいるという、人間の負の側面を極端に表現した人物として描かれています。