コンラッドの闇の奥と時間
時間における枠組み
物語は、名前を明らかにされない語り手の回想という形で語られます。この語り手は、物語が実際に起こってからしばらく経った後に、テムズ川に停泊した船の上で、昔の旅について語っています。この入れ子構造の時間軸によって、物語には現在と過去という二つの異なる時間軸が存在することになります。
時間の歪み
コンゴ川を遡るにつれて、時間の流れは歪み始めます。文明社会から離れるにつれて、時計やカレンダーといった時間の指標は意味を失い、登場人物たちは自然のリズムに支配されるようになります。
時間の停滞
クルツの拠点では、時間がほとんど止まっているかのように感じられます。クルツは文明社会から隔絶された環境で、何年も原始的な生活を送っています。彼の周りの人々もまた、時間の流れから取り残されたかのような存在として描かれています。
時間の象徴
コンラッドは時間というテーマを探求するために、様々な象徴を用いています。例えば、壊れた時計は、文明社会から離れた場所での時間の無意味さを象徴しています。また、コンゴ川は、時間の一方通行で容赦のない流れを象徴しており、登場人物たちはその流れに逆らうことができません。