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コンラッドのロード・ジムの原点

コンラッドのロード・ジムの原点

物語の発想の源泉

コンラッド自身は、『ロード・ジム』の執筆にあたり、特定の事件や人物から直接的な着想を得たとは明言していません。しかし、彼自身の経験や当時の社会状況が、作品に色濃く反映されていることは確かです。

コンラッド自身の海での経験

コンラッドはポーランド貴族の家に生まれましたが、幼くして両親を亡くし、17歳で船乗りになることを決意しました。その後約20年間、イギリス商船隊の船員として世界各地を航海しました。

船員時代の経験は、コンラッドに人間存在の根源的な問題や、極限状態における人間の心理、そして海という雄大かつ容赦のない自然の力を、身をもって体験する機会を与えました。

パタナ号事件の影響

コンラッドが影響を受けた出来事として、1884年に発生した「パタナ号事件」が挙げられます。この事件は、巡礼者を乗せた蒸気船パタナ号が、船体に損傷が生じたことをきっかけに、船長や乗組員の一部が乗客を見捨てて脱出したというものです。

コンラッド自身はこの事件に直接関わってはいませんが、当時の社会に大きな衝撃を与えたこの事件は、彼の心に深く刻まれ、人間の道徳や責任、そして名誉といったテーマを追求する上で重要な契機となったと考えられています。

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