コンラッドのロード・ジムの世界
登場人物
* **ジム:** 物語の主人公。若い頃は「海の貴公子」と称されるほど将来を嘱望されていた優秀な航海士だったが、ある事件をきっかけに自責の念に駆られることとなる。
* **マーロウ:** ジムと親交を持つ語り手。ジムの行動や心情を客観的に観察し、読者に伝える役割を担う。
* **ブリッグズ船長:** ジムが最初に勤めていた汽船の船長。乗客を置き去りにして逃げ出したジムを激しく非難する。
* **スタイン:** 東洋の島々に通じ、ジムに新しい人生の機会を与える謎めいた人物。
* **ドリス:** パタサンの娘で、ジムと恋に落ちる。
* **タンブクトゥ:** ジムが信頼を置く勇敢な戦士。
* **ブラウン:** ジムと対照的な、悪の象徴として描かれる海賊。
舞台
* **パタサン:** ジムが新たな人生を始めることになる、マレー諸島にある架空の島。豊かな自然と多様な文化を持つ。
テーマ
* **名誉と責任:** ジムは物語を通して、自らの行動の責任と向き合い、名誉を回復しようと苦悩する。
* **自己欺瞞と自己認識:** ジムは自身の弱さから目を背けようとする一方で、自らの内面と向き合おうとする葛藤を抱える。
* **植民地主義と帝国主義:** 当時の西洋社会における、東洋に対する植民地支配や偏見が、物語の背景として描かれている。
* **贖罪と救済:** ジムは過去の過ちを償い、新たな人生を築こうとする中で、贖罪と救済の可能性を模索する。
語り口
* **一人称視点:** 物語は、ジムと親交を持つマーロウの一人称視点で語られる。
* **枠物語:** マーロウがジムの物語を語るという、枠物語の形式が採用されている。
* **複雑な時間構成:** 物語は時系列に沿って進むのではなく、過去と現在が交錯する複雑な時間構成となっている。
* **象徴主義:** 作品全体を通して、登場人物や場所、出来事などに象徴的な意味が込められている。