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コンラッドのノストロモの表象

## コンラッドのノストロモの表象

ノストロモ号の外観

ジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』に登場する船、ノストロモ号の外観は、作品中で詳細に描写されています。老朽化が進みながらも、力強い印象を与えるその姿は、物語のテーマと密接に関係しています。

まず、ノストロモ号は「錆びついた鉄の塊」と表現され、その古さと使用感の強さが強調されています。船体は煤で黒ずみ、ところどころ錆が浮き上がっている様子は、長年の航海の過酷さを物語っています。しかし、その一方で、ノストロモ号は「頑丈な構造」とされ、力強い側面も持ち合わせています。

さらに、ノストロモ号は「海に浮かぶ猛禽類」にもたとえられ、その威圧的な雰囲気が表現されています。高いマストは翼を広げた鳥のようで、船首は鋭く海を切り裂いていくかのようです。このことから、ノストロモ号は単なる乗り物ではなく、ある種の生命力、あるいは意志すら感じさせる存在として描かれていることがわかります。

ノストロモ号の象徴性

ノストロモ号は、その外観の描写から、単なる移動手段を超えた象徴的な意味を持つことがわかります。具体的には、以下のような点が挙げられます。

まず、ノストロモ号の老朽化と力強さの対比は、西洋文明の矛盾を象徴していると考えられます。当時の西洋は、産業革命を経て繁栄を極めていましたが、その一方で、植民地支配など、負の側面も抱えていました。ノストロモ号の古びた姿は、西洋文明の衰退を暗示すると同時に、その力強さは、依然として世界に影響力を持つ西洋の姿を象徴していると言えるでしょう。

また、ノストロモ号が「海に浮かぶ猛禽類」と表現されている点は、資本主義の貪欲さを象徴しているとも解釈できます。猛禽類が獲物を捕らえるように、ノストロモ号は利益を求めて海を航行し、資源を搾取していく存在として描かれているのです。

このように、ノストロモ号は作品中で多層的な意味を持つ象徴として機能しており、『闇の奥』のテーマ理解に欠かせない要素となっています。

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