## コンドルセの人間精神進歩史の光と影
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光:進歩への揺るぎない信念
コンドルセは「人間精神進歩史」において、人間精神は歴史を通じて常に進歩してきたし、これからも進歩し続けると主張しました。彼はこの進歩を、理性、科学、教育の力で実現していくことができると信じていました。
コンドルセは歴史を10段階に分け、それぞれにおける人間精神の発展を具体的に示しました。彼は、迷信や偏見に囚われていた時代から、理性と科学によって世界を理解しようとする時代への移り変わりを明らかにしました。そして、印刷技術の普及による知識の共有や、宗教改革による精神の解放など、進歩を促した要因を分析しました。
さらにコンドルセは、進歩は未来においても続くという確信を持っていました。彼は、教育の普及によって人々の理性はさらに高まり、不平等や貧困といった社会問題も解決されると予測しました。そして、人間はより幸福で完成された状態へと近づいていくと主張しました。彼の楽観的な未来予測は、フランス革命期の混乱と恐怖政治の中で書かれたことを考えると、一層際立っています。
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影:進歩史観への批判
コンドルセの進歩史観は、その後の歴史学や思想に大きな影響を与えましたが、同時に様々な批判も受けてきました。
まず、コンドルセの進歩史観は、歴史を一直線上に進むものと捉え、歴史の複雑さや多様性を十分に考慮していないという批判があります。歴史には、進歩だけでなく、後退や停滞も存在します。また、文化や文明にはそれぞれ独自の価値観や発展の道筋があり、一律に比較することはできません。
次に、コンドルセが重視した理性や科学は、一方で環境問題や戦争など、新たな問題を生み出す側面も持ち合わせています。彼の主張は、科学技術の進歩がもたらす負の側面を十分に予見できていなかったという指摘もあります。
さらに、コンドルセの進歩史観は、ヨーロッパ中心主義的であるという批判もあります。彼は、ヨーロッパ文明こそが進歩の頂点にあり、他の文明は遅れていると暗黙のうちに考えていました。彼の視点は、当時のヨーロッパ社会における植民地支配を正当化する論理として利用された側面もあります。
このように、「人間精神進歩史」は、進歩への揺るぎない信念という光と、歴史観やヨーロッパ中心主義に対する批判という影の両面を併せ持っています。