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ゲーテの若きウェルテルの悩みに影響を与えた本

ゲーテの若きウェルテルの悩みに影響を与えた本

ルソー『新エロイーズ』の影響

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの書簡体小説『若きウェルテルの悩み』は、1774年の出版と同時にセンセーションを巻き起こし、後のロマン主義運動に大きな影響を与えました。 失恋の痛みに苦しむ繊細な青年ウェルテルの姿は、当時の若者たちの共感を呼び、ウェルテルWertherフィーバーと呼ばれる社会現象まで引き起こしました。

この作品に深い影響を与えた一冊として、ジャン=ジャック・ルソーの書簡体小説『新エロイーズ』(1761年)が挙げられます。 『新エロイーズ』は、身分違いの恋に苦しむ男女の姿を描いた恋愛小説であり、自然と感情の尊重を説くルソーの思想が色濃く反映された作品です。

『若きウェルテルの悩み』と『新エロイーズ』の共通点は、書簡体epistolary形式で書かれている点にあります。 登場人物の生の声が読者に直接語りかけられる書簡体形式は、登場人物の心情をよりリアルに、そして劇的に表現することを可能にします。 ウェルテルの苦悩に満ちた心の揺れ動きは、ルソーの影響を受けたゲーテの筆致によって、より一層鮮やかに浮かび上がっていると言えるでしょう。

さらに、両作品とも、社会の慣習や道徳規範にとらわれず、個人の感情や自由を尊重することをテーマとしています。 ウェルテルが恋焦がれるシャルロッテは、良識的な婚約者アルバートと既に婚約しており、ウェルテルの恋は叶わぬものと運命づけられています。 身分違いの恋という障害を乗り越えられなかった『新エロイーズ』の登場人物たちと同様、ウェルテルもまた、厳しい社会規範と自身の抑えきれない感情との間で苦悩することになります。

ルソーの思想は、理性や合理性を重視する啓蒙主義への反発として、感情や感性を重視するロマン主義の先駆けとなりました。 ゲーテ自身も Sturm und Drang(疾風怒濤)と呼ばれるドイツ文学運動の中心人物であり、『若きウェルテルの悩み』は、ルソーの影響を受けつつ、ゲーテ自身の感性と Sturm und Drang の精神が融合した傑作と言えるでしょう。

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