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ゲーテのファウストの原点

ゲーテのファウストの原点

ヨハン・ゲオルク・ファウストという人物

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの戯曲「ファウスト」の主人公であるハインリヒ・ファウストは、16世紀初頭に実在したとされる人物、ヨハン・ゲオルク・ファウスト(1480年頃 – 1540年頃)に想を得ています。この実在のファウストは、錬金術師、占星術師、魔術師などとして、当時のドイツで広く知られていました。彼は各地を転々とし、その知識と能力を披露して回ったと言われています。しかし、その人物像は多くの伝説に彩られており、歴史的な資料は乏しく、その実像は謎に包まれています。

ファウスト伝説の成立と変遷

ファウストに関する伝説は、彼の死後まもなくしてドイツ各地で語られるようになり、1587年には「ヒストリア・フォン・ドクトル・ヨハン・ファウスト」という書物がフランクフルトで出版されました。この書物は、ファウストを悪徳と堕落の象徴として描き、悪魔に魂を売ってまで知識と力を得ようとした愚か者として断罪しています。この「ファウストブック」はその後、様々な言語に翻訳され、ヨーロッパ中に広まりました。

ゲーテ以前のファウスト作品 – クリストファー・マーロウの「フォースタス博士の悲劇」

ゲーテ以前にも、ファウスト伝説を題材にした文学作品は数多く存在しました。その中でも特に有名なのが、イギリスの劇作家クリストファー・マーロウによる「フォースタス博士の悲劇」(1604年頃)です。マーロウの作品では、ファウストは禁断の知識と力を求めて悪魔と契約し、永遠の地獄の苦しみと引き換えに、現世的な欲望を満たしていきます。最終的にファウストは後悔の念に苛まれながらも、悪魔に魂を奪われてしまいます。

ゲーテの「ファウスト」 – 長期にわたる執筆と二部構成

ゲーテは、青年時代からファウスト伝説に興味を抱き、生涯をかけて「ファウスト」の執筆に取り組みました。1770年代から断続的に執筆が続けられ、「ファウスト」は1808年に第一部が、1832年に第二部が出版されました。ゲーテの「ファウスト」は、単なる伝説の焼き直しではなく、人間存在の根源的な問題を追求した壮大な作品として、世界文学史上に燦然と輝いています。

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