ケネーの経済表を読んだ後に読むべき本
古典派経済学への橋渡し：アダム・スミス「国富論」
フランソワ・ケネーの「経済表」は、経済学の先駆的な業績であり、経済循環の概念を初めて体系的に示したものです。 ケネーの分析は、富の源泉が農業における「純生産物」であるという重農主義の考え方に基づいていました。 「経済表」は、社会を地主、農業生産者、商人・工業生産者の3つの階級に分け、彼らの間の財・サービスの流れと貨幣の流れを図式化することで、経済の相互依存性を明らかにしました。
ケネーの「経済表」を読んだ後に読むべき一冊として、アダム・スミスの「国富論」を挙げることができるでしょう。 「国富論」は、1776年に出版された経済学の古典であり、近代経済学の基礎を築いたとされています。 スミスは、ケネーと同じく、経済の仕組みを解明しようと試みましたが、そのアプローチは大きく異なっていました。
スミスは、「見えざる手」と呼ばれる市場メカニズムの概念を提唱し、個人の利己的な行動が、自由競争の下では、社会全体の利益につながると主張しました。 また、分業の重要性を強調し、それが生産性の向上と経済成長の鍵となると論じました。 スミスは、重農主義のような特定の産業を優遇する政策ではなく、自由貿易と政府の役割の制限を重視しました。
「国富論」を読むことで、読者はケネーの「経済表」で提示された経済循環の概念をさらに発展させ、より広範な経済理論の枠組みの中で理解することができます。 スミスの分析は、価格メカニズム、競争、分業といった現代経済学の重要な概念を理解する上で欠かせません。
「経済表」と「国富論」は、どちらも経済学の古典として、現代の経済思想に大きな影響を与え続けています。 これらの著作を読むことで、読者は経済学の歴史的な発展を辿りながら、現代経済の課題についても考えることができるでしょう。