ケネーの経済表の秘密
ケネーの経済表とは？
フランソワ・ケネー(1694-1774)が1758年に発表した『経済表』は、経済学史上、最初の分析ツールとして高く評価されています。 経済を循環的なシステムとして捉え、貨幣や財・サービスが各経済主体間をどのように流れているかを視覚的に表しました。
経済表の構成
ケネーは社会を大きく三つの階級に分けました。
1. **生産階級**: 土地から新たな価値を生み出す農業者。
2. **地主階級**: 土地を所有し、小作料を受け取る地主。
3. **不生産階級**: 商工業者など、生産階級が生産した財を加工したり、サービスを提供する人々。
経済表は、これらの階級間における貨幣と財の循環を、図表を用いて表しています。 具体的には、各階級の収入と支出、そして階級間の取引がどのように行われるのかを示しています。
経済表の意義
ケネーの経済表は、近代経済学の先駆的な業績として高く評価されています。 その理由は、以下の点が挙げられます。
1. **経済循環の概念**: 経済を静的なものではなく、各主体の活動が相互に影響し合う動的なシステムとして捉えた点。
2. **国民経済計算の先駆け**: 財・サービスの流れを定量的に把握しようとした点で、現代のマクロ経済学における国民所得計算の基礎を築いた。
3. **重農主義の理論的支柱**: 経済表は、農業こそが真の価値を生み出す源泉であるとする重農主義の考え方を説明するために用いられた。
しかし、ケネーの経済表は、現代の経済学から見ると、いくつかの限界も指摘されています。例えば、商工業を「不生産的」とみなしている点や、資本蓄積や経済成長を十分に考慮していない点などが挙げられます。