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グロチウスの自由海論を読んだ後に読むべき本

グロチウスの自由海論を読んだ後に読むべき本

ジョン・セルデンの「閉鎖された海」

「自由海論」に対する最も重要な反論として、そしてそれ自体が国際法の発展に大きな影響を与えた作品として、ジョン・セルデンの「閉鎖された海」(Mare Clausum, 1635年)は外せない一冊です。

グロチウスが「自由海論」で主張した、海洋は誰のものでもなく全ての国家が自由に航行・漁業・通商を行う権利を持つという原則は、当時の海洋強国であるオランダの利益を反映したものでした。

一方、セルデンはイギリスの立場から、歴史的・法的根拠に基づいて海洋を領有し支配することが可能であると反論しました。彼は、古代ローマ帝国や中世のイギリスが海域を支配していた事例を挙げ、国家が海洋を領有し、その利用を制限することが歴史的に認められてきたと主張しました。

特に、セルデンはイギリスが「ブリテンの海」を支配してきた歴史的権利を強調し、イギリス周辺海域における漁業権や航行の自由を主張しました。この主張は、当時勃興しつつあったオランダの漁業活動や植民地進出に対抗するものでした。

「閉鎖された海」は、「自由海論」に対する直接的な反論であるだけでなく、海洋領有をめぐる国際法上の論争において重要な役割を果たしました。セルデンの主張は、その後も海洋強国によって利用され、領海や排他的経済水域といった概念の形成に影響を与えました。

「自由海論」を読んだ後には、その主張に対する反論、そして海洋領有をめぐる歴史的な論争を知るために、「閉鎖された海」を読むことを強くお勧めします。二つの書を読むことで、国際法、特に海洋法の歴史と発展をより深く理解することができます。

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