## グロチウスの自由海論の思考の枠組み
1. 自然法に基づく議論
グロチウスは、「自由海論」において、当時の国際関係における慣習法や条約ではなく、普遍的な自然法を基礎として議論を展開しています。彼は、自然法を「正しい理性によって示されるものであり、ある行為が本質的に、理性と社会的な性質を有する人間に適合するか、あるいは適合しないかを示すもの」と定義しています。
2. 海の性質と所有可能性
グロチウスは、海の性質について、陸地と異なり、占有が不可能であり、消費もされないことを指摘します。彼は、この海の性質から、特定の国家が海を領有することは自然法上認められないと主張します。
3. 航海の自由
グロチウスは、自然法上、全ての国家が共通して海洋を利用する権利、すなわち「航海の自由」を有すると主張します。これは、海洋が貿易や交流の不可欠な手段であり、人類全体の利益に資するという考えに基づいています。
4. 制海権の限定的な容認
グロチウスは、「自由海論」において、基本的には海の自由を主張する一方で、一定の限定的な範囲で国家が海域に対する権利を持つことを認めています。例えば、自国の安全保障のために、沿岸から一定の範囲内の海域における管轄権を主張することは許容されるとしました。