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グロチウスの自由海論の思想的背景

グロチウスの自由海論の思想的背景

スペイン・ポルトガルの海洋支配と自然法

16世紀から17世紀初頭にかけて、スペインとポルトガルは大航海時代における先駆者として、広大な海域と植民地を支配していました。両国はローマ教皇から与えられた権利に基づき、海洋支配を正当化しようとしました。しかし、新興国であるオランダは、貿易の自由を強く求めていました。

グロチウスとオランダ東インド会社

グロチウスは、1604年に起きたポルトガル船拿捕事件を巡り、オランダ東インド会社から弁護を依頼されました。彼はこの事件を機に、国際法のあり方を深く考えるようになりました。「自由海論」は、この弁護のために書かれたものであり、グロチウスの思想が色濃く反映されています。

古代ローマ法とストア派哲学

グロチウスは、古代ローマ法、特に自然法の概念から大きな影響を受けました。自然法とは、人間が作り出した法ではなく、理性によって認識できる普遍的な法とされ、万人に共通する権利や義務を規定すると考えられていました。彼はストア派哲学の影響も受けており、自然は全ての人々に共通の財産であると捉え、特定の国や人物が独占すべきではないと主張しました。

新興国の台頭と国際関係の変化

17世紀は、スペイン・ポルトガルに代わり、オランダやイギリスといった新興国が台頭した時代でした。国際関係は大きく変化し、従来の秩序や価値観が見直される必要がありました。グロチウスの「自由海論」は、このような時代の変化を背景に、新しい国際秩序の構築を目指したものでした。

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