グロチウスの戦争と平和の法の関連著作
トマス・アクィナスの「神学大全」
トマス・アクィナスは、13世紀のイタリアの神学者であり哲学者であり、その影響力はグロチウスにまで及びました。「神学大全」の中でアクィナスは、アリストテレスの思想をキリスト教神学に取り入れ、戦争と平和に関する包括的な教義を展開しました。彼は、戦争は特定の条件下でのみ正当化されると主張し、後の「正戦論」の基礎を築きました。
フランシスコ・デ・ヴィトリアの「インディアス問題講義」
16世紀のスペインの神学者であり法学者であったフランシスコ・デ・ヴィトリアは、国際法の先駆者として知られています。彼は、当時のスペインによるアメリカ大陸征服を批判的に考察し、「インディアス問題講義」において、先住民に対する自然権の概念を主張しました。彼の思想は、グロチウスの自然法思想に大きな影響を与えました。
アルベリコ・ジェンティーリの「戦争法について」
16世紀後半から17世紀初頭にかけて活躍したイタリアの法学者、アルベリコ・ジェンティーリは、国際法の父と称されることもあります。彼の著書「戦争法について」は、古代ローマ法と自然法の原則に基づいて、戦争と平和に関する包括的な法理論を提示しました。グロチウスはジェンティーリの著作を研究し、その影響を強く受けました。
フーゴー・グロティウスの「自由海論」
「戦争と平和の法」と並んで、グロチウスの代表作として知られる「自由海論」は、1609年に出版されました。この著作でグロティウスは、海洋の自由という概念を提唱し、特定の国が海洋を支配することを否定しました。彼は、国際社会における国家間の共存と協調の必要性を強調し、後の国際法の発展に大きく貢献しました。
これらの著作は、「戦争と平和の法」と密接に関連しており、グロチウスの思想背景や国際法の発展における位置づけを理解する上で欠かせないものです。