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グロチウスの戦争と平和の法の評価

## グロチウスの戦争と平和の法の評価

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歴史的背景

 グロチウスの主著『戦争と平和の法』(De Jure Belli ac Pacis) は、1625年に刊行されました。これは、三十年戦争(1618-1648)の最中であり、ヨーロッパ全土が宗教的な対立と戦争によって荒廃していた時代でした。グロチウス自身も、故郷であるネーデルラントがスペインとの独立戦争の渦中にあった時代に生まれ育ち、宗教対立の影響を受けています。

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自然法思想

 本書は、戦争と平和に関する諸問題を、当時の神学的議論や慣習法に依拠するのではなく、「自然法」の概念に基づいて体系的に論じた点で画期的でした。グロチウスは、人間理性によって認識可能な普遍的な法としての自然法が存在し、それは神が存在しなくても成立するとしました。そして、戦争もまた、この自然法の枠組みの中で捉えられるべきだと主張しました。

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戦争の正当性

 グロチウスは、戦争を無条件に否定するのではなく、正当な理由に基づく戦争を認めました。彼は、自衛権や、条約違反に対する武力行使などを正当な開戦事由として挙げました。ただし、戦争はあくまでも最後の手段として、正当な権威によって宣言され、一定のルールに従って遂行されるべきだとしました。

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国際法への影響

 『戦争と平和の法』は、近代国際法の基礎を築いた書として高く評価されています。本書で展開された自然法思想、正当な戦争の概念、戦時国際法の原則などは、後の国際法の発展に大きな影響を与えました。例えば、中立国の権利や捕虜の待遇に関するグロチウスの主張は、後の国際条約に受け継がれています。

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批判

 一方で、グロチウスの主張は、当時のヨーロッパ列強の植民地支配を正当化する論理として利用されたという批判もあります。また、自然法の概念や正当な戦争の基準が曖昧であるという指摘もあります。

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