## グロチウスの戦争と平和の法に匹敵する本
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トマス・アクィナスの「神学大全」
13世紀に書かれた「神学大全」は、中世哲学と神学の金字塔とされ、アリストテレス哲学をキリスト教神学に統合しようと試みた壮大な著作です。当時の社会規範や倫理観を形作る上で大きな影響力を持っただけでなく、現代においてもカトリック教会の教えの基礎となっています。
「戦争と平和の法」が国際法の礎を築いたように、「神学大全」は道徳、政治、法、経済など、人間社会のあらゆる側面における倫理的な原則を体系的に論じています。具体的には、正義、法、戦争と平和、統治、財産など、多岐にわたるテーマを取り上げ、神学的・哲学的な観点から分析しています。
特に、「正義論」は現代の法哲学にも通じる普遍的な議論を展開しており、法の概念、正義の種類、法と道徳の関係など、重要なテーマについて考察しています。また、「戦争と平和」の章では、正当な戦争の条件や戦闘における倫理など、現代の国際人道法にも通じる問題提起をしています。
このように、「神学大全」は「戦争と平和の法」と同様に、出版から数世紀を経た現代においてもなお、その内容が深く考察され続けている歴史的名著と言えるでしょう。