グリム兄弟のグリム童話集の思想的背景

グリム童話は、19世紀初頭のドイツで興ったロマン主義運動の強い影響を受けています。ロマン主義は、理性や啓蒙主義への反動として、感情、想像力、自然、そして民族の伝統や文化を重視しました。

グリム兄弟は、民衆の口から口へと伝えられてきた昔話を収集し、編集することで、ドイツ民族の精神や文化を記録し、保存しようとしました。彼らは、童話の中に、ドイツ人の素朴さ、純粋さ、勤勉さといった美徳が表現されていると考えました。

グリム兄弟は、単に童話を収集するだけでなく、民話研究という新しい学問分野の確立にも貢献しました。彼らは、童話の起源や変遷、他の文化圏の民話との比較などを研究し、その成果を注釈や論文として発表しました。

グリム童話は、今日では、世界中の子供たちに愛される物語集であると同時に、民俗学や文学研究の重要な資料としても位置づけられています。