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グリム兄弟のグリム童話集に影響を与えた本

グリム兄弟のグリム童話集に影響を与えた本

ジョヴァンニ・フランチェスコ・ストラパローラ著「愉快な夜会」の影響

グリム童話集の形成に大きな影響を与えた一冊として、16世紀イタリアの作家ジョヴァンニ・フランチェスコ・ストラパローラによる物語集「愉快な夜会」(Le piacevoli notti)が挙げられます。1550年から1553年にかけて出版されたこの物語集は、当時のイタリアで流行していた枠物語の形式を取り、13夜にわたって語られる75の物語で構成されています。

ストラパローラの「愉快な夜会」は、民衆の間で口承されてきた昔話や伝説、逸話を収集し、洗練された文語で再話したもので、その中には「猫の親方」(後にシャルル・ペローが「長靴をはいた猫」として翻案)、「妖精の贈り物」(グリム童話「ろばかやぎ」の元になったとされる)など、グリム童話にも類似するモチーフやプロットを持つ物語が多数含まれています。

グリム兄弟は「愉快な夜会」を直接参照した形跡こそありませんが、両作品の内容や構成には共通点が多く見られます。例えば、「愉快な夜会」の枠物語の設定は、貴族の館に集まった人々が物語を語り合うというもので、これはグリム兄弟が初期の童話集で用いた「語り手」という設定と類似しています。また、ストラパローラが民衆の口承文学を収集して再話したという点も、グリム兄弟の童話収集の姿勢と重なる部分があります。

さらに、「愉快な夜会」には、残酷な描写や性的な暗示を含む物語も少なくありません。グリム兄弟は初期の童話集において、これらの要素を一部残したまま収録していましたが、後の版では子供向けに表現を緩和するなどの改変を加えています。これは、グリム兄弟がストラパローラの影響を受けながらも、独自の倫理観や子供向け文学としての役割を意識していたことを示唆していると言えるでしょう。

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