クロポトキンのフランス革命史の関連著作
トーマス・カーライル「フランス革命史」
1837年に出版された本書は、フランス革命を文学的筆致で描き出した作品です。カーライルは革命を英雄と群衆のドラマとして捉え、鮮やかな描写で当時の熱狂と混乱を表現しました。クロポトキンはカーライルの歴史観に影響を受けたとされており、特に民衆のエネルギーに着目する点で共通点が見られます。しかし、カーライルが革命の指導者たちにある種の英雄性を見出していたのに対し、クロポトキンはあくまで民衆自身の力による革命を強調していた点は異なります。
ジュール・ミシュレ「フランス史」
19世紀フランスの歴史家ジュール・ミシュレは、その生涯をかけてフランス史の叙述に取り組みました。全19巻からなる「フランス史」は、フランス革命をフランス国民の精神の勝利として描き出す記念碑的著作です。ミシュレは革命を、封建制や王権の抑圧からの解放という文脈で捉え、フランス国民の自由への渇望が革命を推進したと主張しました。クロポトキンもまた、革命を民衆の自発的な運動として捉えており、ミシュレの思想との共通点を見出すことができます。
アルベール・マチエ「フランス革命」
20世紀前半に活躍した歴史家アルベール・マチエは、フランス革命史研究に計量的な手法を導入したことで知られています。マチエは、膨大な史料分析に基づき、従来の政治史中心の見方から、経済状況や社会構造、地方の動向など、多角的な視点からフランス革命を分析しました。クロポトキンの著作が革命の理想に焦点を当てているのに対し、マチエはより実証的な立場から革命の複雑な要因を解明しようとした点が対照的です。