## クロポトキンのフランス革命史の翻訳
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クロポトキンの主要著作の翻訳状況
クロポトキンの主要著作である「パンの略取」「相互扶助論」「フランス革命史」のうち、「フランス革命史」は他の2作品に比べて邦訳の出版が遅れました。「パンの略取」は1920年代から部分訳が出版され、「相互扶助論」は1950年代に複数の翻訳が出ています。一方、「フランス革命史」の全訳は1970年代まで待たなければなりませんでした。
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「フランス革命史」翻訳の背景
「フランス革命史」の翻訳が遅れた背景には、当時の社会状況が関係しています。1930年代から1940年代にかけて、世界はファシズムの台頭、第二次世界大戦といった激動の時代を迎えました。その後、冷戦構造が成立し、世界は資本主義陣営と社会主義陣営に分断されます。このような状況下では、アナーキズムを代表する思想家の一人であるクロポトキンの著作、特に革命を扱った「フランス革命史」は、政治的にセンシティブな内容として扱われた可能性があります。
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「フランス革命史」翻訳のその後
1970年代に初めて全訳が出版された後、「フランス革命史」は複数の出版社から翻訳が出されています。これは、1960年代後半から70年代にかけて世界的に高まった学生運動や市民運動の影響を受けていると考えられます。これらの運動の中で、国家や権力による支配に批判的なクロポトキンの思想は、多くの若者たちの共感を呼びました。