## クックのイギリス法提要を読む前に
クックの『イギリス法提要』は、イギリス法の歴史において重要な意味を持つ書物です。しかし、17世紀に書かれた法律書の古典であり、現代の読者にとっては難解な部分も少なくありません。そのため、本書に取り掛かる前にいくつか準備をしておくことで、より深く理解を深めることができるでしょう。
1. クックの人物像と時代背景を知る
エドワード・クックは、16世紀後半から17世紀前半にかけて活躍した法律家・政治家です。彼は、国王の専制に反対し、法の支配と議会政治の確立に尽力しました。『イギリス法提要』は、彼の膨大な法律知識と経験に基づいて書かれたものであり、当時の社会状況や政治思想を色濃く反映しています。
彼の生きた時代は、イギリス史において激動の時代でした。宗教改革や絶対王政の台頭、議会との対立など、様々な出来事が起こり、社会構造も大きく変化しました。クック自身も、王党派と議会派の争いに巻き込まれ、波乱の人生を送りました。
『イギリス法提要』を読む前に、クックの生涯や当時の歴史的背景についてある程度理解しておくことは、本書の内容を理解する上で大いに役立ちます。
2. イギリス法の基本的な知識を身につける
『イギリス法提要』は、イギリス法のあらゆる分野を網羅した大著です。そのため、イギリス法の基本的な知識がないまま読み進めても、内容を理解することは難しいでしょう。
特に、コモン・ローとエクイティ、陪審制度、判例法など、イギリス法の特徴的な制度について事前に学んでおくことをお勧めします。また、本書では、多くのラテン語の法律用語が使われています。必要に応じて、法律用語辞典などを参照しながら読み進めると良いでしょう。
3. 書物の構成と内容を概観する
『イギリス法提要』は、全4巻から成り、それぞれの巻で異なる法律分野を扱っています。例えば、第1巻は財産法、第2巻は訴訟法、第3巻は刑法、第4巻は裁判権などを扱っています。
いきなり本文を読み始めるのではなく、まずは目次や索引などを確認し、書物の構成と内容を概観しておきましょう。どの巻に何が書かれているかを把握しておくことで、効率的に必要な情報を探し出すことができます。
また、各章の冒頭には、その章の内容を要約した部分があります。これらの要約を読むことで、各章の主題や論点が明確になり、よりスムーズに本文を読み進めることができるでしょう。