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クックのイギリス法提要の批評

## クックのイギリス法提要の批評

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賞賛

エドワード・クックの「イギリス法提要」(Institutes of the Lawes of England)は、17世紀初頭に出版されたイギリス法の注釈書です。出版以来、その包括的な内容と明快な記述により、法曹家や学者から高く評価されてきました。

* **網羅性と体系性:** クックの提要は、当時のイギリス法のほぼ全分野を網羅しており、体系的に整理されています。これは、それまでの断片的な法律書とは一線を画すものであり、法体系全体の理解を深める上で大きく貢献しました。
* **明快な記述:** クックは、難解な法律用語を避け、平易な言葉で法律の原則を解説しました。これは、法律専門家だけでなく、一般の人々にとっても理解しやすいものであり、広く読まれるようになった要因の一つです。
* **先例重視の姿勢:** クックは、過去の判例を重視し、そこから法の原則を導き出すことに尽力しました。これは、後のイギリス法における先例拘束性の原則の基礎を築くものであり、法の安定性と予測可能性を高める上で重要な役割を果たしました。
* **自由主義的な法思想:** クックは、国王といえども法を超越することはできないという法の支配の原則を強く主張しました。これは、後のイギリスにおける立憲主義の発展に大きな影響を与えました。

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批判

一方で、「イギリス法提要」は、その内容や記述方法に関して、いくつかの批判も受けています。

* **時代遅れの記述:** クックの提要は、17世紀初頭のイギリス法に基づいて書かれたものであり、現代の法律とは異なる点が少なくありません。そのため、現代の法律を学ぶ上では、注意が必要です。
* **偏った視点:** クックは、熱心なコモン・ロー主義者であり、彼の提要には、コモン・ローを優位に立たせようとする意図が強く反映されています。そのため、衡平法や制定法については、十分な記述がなされているとは言えません。
* **体系性に欠ける部分:** クックの提要は、全体としては体系的に構成されていますが、細部においては、論理の飛躍や重複が見られる箇所も存在します。

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影響

「イギリス法提要」は、上記の賞賛と批判の両面を含みながらも、イギリス法の発展に多大な影響を与えました。その影響は、イギリス法にとどまらず、アメリカ合衆国など、コモン・ローを継承した国々の法体系にも及んでいます。

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