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クックのイギリス法提要の思考の枠組み

## クックのイギリス法提要の思考の枠組み

### 1. コモン・ローの体系化と解説への志向

サー・エドワード・クックは、16世紀後半から17世紀前半にかけて活躍した、イングランドの法律家、裁判官、そして政治家です。彼の代表作である『イギリス法提要』(Institutes of the Laws of England)は、イングランドのコモン・ローを体系的にまとめ、解説を加えた書物として、後世に多大な影響を与えました。クックは、本書を通じて、複雑で断片的な判例法として存在していたコモン・ローを、体系的な知識体系として構築しようと試みました。

### 2. 法の論理と理性への信頼

クックは、『イギリス法提要』において、法の論理と理性に基づいた解釈を重視しました。彼は、個々の判例を単なる事実として羅列するのではなく、その背後にある法的原則や論理を明らかにしようと努めました。クックは、法は単なる慣習の集積ではなく、理性に基づいた体系であると信じていました。彼は、法の解釈においては、論理的な推論や先例との整合性を重視すべきだと主張しました。

### 3. 先例の重要性と「artificial reason」

クックは、先例(precedent)の重要性を強調しました。彼は、先例は単なる過去の判決例ではなく、法の重要な構成要素であると認識していました。しかし、クックは、先例を機械的に適用することに反対し、「artificial reason」と呼ばれる、法の論理に基づいた解釈の重要性を説きました。クックは、先例は、法の論理と整合性を保ちながら、社会の変化や新たな状況に合わせて解釈されるべきだと主張しました。

### 4. 法の独立性と国王大権に対する制限

クックは、『イギリス法提要』の中で、法の独立性と国王大権に対する制限を強く主張しました。彼は、国王といえども法を超越した存在ではなく、法に拘束されるとしました。これは、当時の国王の絶対的な権力に対する、明確な異議表明でした。クックは、法の支配こそが、個人の自由と権利を保障するものであり、社会の秩序を維持する上で不可欠であると信じていました。

### 5. 後世への影響

クックの『イギリス法提要』は、イングランド法の体系化と発展に大きく貢献しました。本書は、法律家の必読書として広く読まれ、後の時代の法律家たちに多大な影響を与えました。クックの法思想は、イギリス法の伝統的な価値観として受け継がれ、現代の法体系にも息づいています。

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