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クックのイギリス法提要の周辺

## クックのイギリス法提要の周辺

### 出版と著者

「イギリス法提要」(The Institutes of the Laws of England)は、イングランドの法律家サー・エドワード・クック(Sir Edward Coke, 1552-1634)によって書かれた、イングランド法(コモン・ロー)に関する重要な法学書です。クックはエリザベス1世とジェームズ1世の治世に仕えた法律家で、法務長官や大法官といった要職を歴任しました。

### 内容と構成

「イギリス法提要」は全4巻からなり、それぞれがイングランド法の異なる分野を扱っています。

* **第1巻**: 土地法(不動産法)
* **第2巻**: 古代のコモン・ロー裁判所の訴訟手続きと関連法
* **第3巻**: 犯罪法と刑事訴訟
* **第4巻**: 裁判所の管轄権

各巻はさらに章に分けられ、それぞれの章で特定の法律分野について解説されています。クックは解説の中で、過去の判例や法令を網羅的に引用し、独自の解釈を加えています。

### 特徴と影響

「イギリス法提要」の特徴としては、以下の点が挙げられます。

* **体系的な構成**: 当時のイングランド法は体系化が進んでいませんでしたが、クックは独自の解釈に基づいて体系的な解説を試みています。
* **豊富な判例引用**: 膨大な数の判例を引用することで、自らの解釈の根拠を示すとともに、後世の法律家にとって貴重な資料を提供しました。
* **明快な文章**: 当時の法律書はラテン語で書かれることが一般的でしたが、「イギリス法提要」は英語で書かれ、明快で理解しやすい文章で書かれています。

これらの特徴により、「イギリス法提要」はイングランド法の古典として、後世の法律家や法学生に多大な影響を与えました。特に、アメリカ合衆国では独立後にイギリス法が継承されたため、建国の父たちを含む初期のアメリカの法律家たちにも広く読まれ、アメリカ法の形成にも影響を与えました。

### 批判と限界

「イギリス法提要」は画期的な著作でしたが、一方でいくつかの批判もあります。

* **偏った解釈**: クックは自らの政治的な立場から、王権を制限し、コモン・ローの優位性を主張するような解釈を展開することがありました。
* **時代遅れの内容**: 17世紀後半以降、イングランド法は大きく変化しましたが、「イギリス法提要」の内容は必ずしも最新の法状況を反映しているわけではありませんでした。

これらの批判にもかかわらず、「イギリス法提要」はイングランド法、ひいては英米法の形成に大きな影響を与えた重要な著作として、今日でも高く評価されています。

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