Skip to content Skip to footer

ギールケのドイツ団体法の発想

ギールケのドイツ団体法の発想

1. ギールケにおける「法人」概念の捉え方

ギールケは、国家と個人の中間に位置する「団体」の存在に着目し、その法的主体をどのように捉えるべきかという問題に取り組みました。当時のドイツ法学界では、法人を実在する人格として捉える「法人実在説」と、法技術上の構成物と捉える「法人擬制説」が対立していました。ギールケは、両説の妥当性を検討した上で、独自の「法人現実説」を提唱しました。

2. 「法人現実説」の内容

ギールケは、法人実在説のように、法人を国家や個人と並ぶ独立した実体として認めることはできないと考えました。しかし、法人擬制説のように、法人を単なる法技術上の構成物と見なすことも適切ではないとしました。ギールケは、法人の基盤となるのは、特定の目的のために結合した人々の「団体意思」であるとし、この団体意思は、個人の意思とは独立した現実の力を持つと主張しました。そして、この団体意思に法的保護を与えることで、団体は権利能力の主体となることができるとしました。

3. 「団体意思」の法的承認

ギールケは、団体意思を法的に承認するために、「団体目的」、「団体組織」、「団体財産」の3つの要素が必要であると考えました。

* **団体目的:** 団体を構成する人々の共通の目的が明確に定められていること。
* **団体組織:** 団体の意思決定や活動を行うための組織が整備されていること。
* **団体財産:** 団体の目的を達成するために必要な財産が独立して存在すること。

これらの要素が備わっている場合、団体は法人格を取得し、法律上の権利義務の主体として認められることになります。

4. ギールケの団体法理論の影響

ギールケの団体法理論は、ドイツ法学界に大きな影響を与え、その後のドイツ民法典の制定にも影響を与えました。特に、法人現実説は、法人擬制説では説明の難しい、団体の権利能力や責任能力を説明する上で有効な理論として、今日でも重要な意義を持ち続けています。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5