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ギボンのローマ帝国衰亡史の思想的背景

ギボンのローマ帝国衰亡史の思想的背景

18世紀の知的風潮

ギボンが「ローマ帝国衰亡史」を執筆した18世紀は、ヨーロッパにおいて啓蒙主義と呼ばれる思想運動が隆盛を極めた時代でした。啓蒙主義は、理性と経験に基づいた知識を重視し、伝統や迷信に囚われない社会の実現を目指しました。ギボン自身も啓蒙主義の影響を強く受けた人物であり、彼の歴史観にもそれは色濃く反映されています。

具体的には、ギボンは歴史を人間の理性によって説明可能なものと捉え、超自然的な力や神の介入を排除しようとしました。これは、当時の歴史叙述において一般的であった、歴史を神の意志の表れとみなす見方とは一線を画すものでした。

ローマ史研究の伝統

ギボンは、古代ローマの歴史家タキトゥスを高く評価しており、「ローマ帝国衰亡史」の記述にもその影響が見られます。特に、タキトゥスが共有していた、ローマ帝国の衰退を共和政ローマ期の道徳的な退廃と結びつける歴史観は、ギボンの歴史叙述にも大きな影響を与えました。

また、ギボンはエドワード・ギボンなど、当時のイギリスにおけるローマ史研究の蓄積も踏まえて「ローマ帝国衰亡史」を執筆しました。彼は、先行研究を批判的に検討し、膨大な史料を駆使することで、より客観的で網羅的なローマ帝国衰亡史の記述を目指しました。

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