Skip to content Skip to footer

ギボンのローマ帝国衰亡史の対極

## ギボンのローマ帝国衰亡史の対極

###

ギボンの主張と影響

エドワード・ギボンの著した『ローマ帝国衰亡史』は、18世紀後半に出版されて以来、ローマ帝国滅亡の原因に関する議論に大きな影響を与えてきました。ギボンは、その膨大な史料に基づいた詳細な記述と、洗練された文体によって、ローマ帝国の衰退を、キリスト教の台頭、蛮族の侵入、そしてローマ人自身の道徳的堕落といった要因の複合的な結果として描き出しました。

特に、ギボンはキリスト教の広まりが、ローマ帝国の伝統的な価値観や市民道徳を弱体化させ、帝国の防衛意識を低下させたと主張しました。この見解は、キリスト教界から激しい反発を受けると同時に、その後の歴史家たちに多大な影響を与え、ローマ帝国衰亡の原因をめぐる論争の火種となりました。

###

対極に位置する歴史書

ギボンの『ローマ帝国衰亡史』の対極に位置する歴史書を一つに絞り込むことは困難です。なぜなら、歴史学は常に新たな視点や解釈が提示され続ける学問であり、一つの歴史書が絶対的な解答を提供することは不可能だからです。

しかし、あえて「対極」になりうる歴史書を挙げるとすれば、それは特定の一つの作品ではなく、ギボンの主張に異論を唱え、ローマ帝国衰亡の要因を異なる視点から分析した、数多くの歴史書群と捉えることができるでしょう。

###

具体的な例

例えば、アンリ・ピレンヌの『ヨーロッパ世界の成立』は、ローマ帝国の遺産を継承した中世ヨーロッパの形成過程を、イスラム勢力の進出とそれによる地中海世界の経済構造の変化に焦点を当てて分析しました。これは、蛮族の侵入を重視したギボンの見解とは大きく異なる視点からの考察を提供しています。

また、近年では、環境史や気候変動の視点からローマ帝国衰退を分析する研究も進んでいます。例えば、ブライアン・フェイガンの『The Little Ice Age』では、6世紀から19世紀にかけて続いた小氷期と呼ばれる寒冷期が、ヨーロッパ社会に大きな影響を与えたことを指摘し、ローマ帝国衰退との関連を示唆しています。

このように、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、その後の歴史研究に多大な影響を与えましたが、同時に多くの批判や反論も呼び起こしてきました。そして、それらの批判や反論の中から、ローマ帝国衰亡に関する新たな解釈や視点が生まれ、歴史学の発展に貢献してきたと言えるでしょう。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5