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ギボンのローマ帝国衰亡史の光と影

## ギボンのローマ帝国衰亡史の光と影

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* **詳細な歴史叙述:** ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、膨大な一次資料の調査に基づいており、ローマ帝国の衰退過程を詳細に描き出しています。これは、政治、軍事、社会、経済、宗教など、多岐にわたる側面からの分析を含んでおり、当時のローマ帝国の複雑な状況を理解するための貴重な資料となっています。
* **流麗な文体:** ギボンは明快で力強い文体を駆使し、歴史叙述に文学的な魅力を与えています。皮肉とユーモアを交えながら、読者を惹きつける筆致は、本書が歴史書としてだけでなく、文学作品としても高く評価される理由の一つとなっています。
* **啓蒙主義の影響:** ギボンは啓蒙主義の影響を強く受けた歴史家で、理性と経験に基づいた歴史解釈を展開しました。彼は、ローマ帝国の衰退を、迷信や専制主義といった非合理的な要因によって説明し、近代社会への教訓を導き出そうとしました。これは、当時のヨーロッパ社会に大きな影響を与えました。

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* **キリスト教に対する偏見:** ギボンはキリスト教を、ローマ帝国衰退の原因の一つとして批判的に捉えていました。彼は、キリスト教の禁欲主義や来世主義が、ローマ市民の civic virtue(市民としての美徳)を衰退させ、帝国の衰退を招いたと主張しました。この見解は、当時のキリスト教社会から激しい反発を受け、現在でも議論の的となっています。
* **史料批判の不足:** ギボンは膨大な史料を駆使していますが、現代の基準から見ると、史料批判が十分とは言えません。彼は、自らの主張に都合の良い史料を恣意的に選択しているという批判もあります。
* **18世紀的な歴史観:** ギボンは、歴史を「進歩」と「衰退」という単純な二分法で捉えていました。これは、18世紀的な歴史観であり、現代の歴史学では、歴史をより複雑で多様な側面から捉えるようになっています。

これらの光と影を踏まえ、『ローマ帝国衰亡史』は、現代でもなお、ローマ帝国衰退に関する重要な歴史書として、また、18世紀啓蒙主義の思想を理解する上での貴重な文献として、高く評価されています.

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