ギゾーのヨーロッパ文明史の関連著作
**エドワード・ギボン著「ローマ帝国衰亡史」**
1776年から1789年にかけて出版されたギボンの大著は、ローマ帝国の衰退と崩壊を、2世紀の最盛期から1453年の東ローマ帝国滅亡まで、詳細に辿っています。ギゾーはギボンから大きな影響を受けており、「ヨーロッパ文明史」の中でギボンの洞察力とスタイルを賞賛しています。
**ジュール・ミシュレ著「フランス史」**
ミシュレは19世紀フランスの著名な歴史家で、「フランス史」は彼の代表作です。この多巻にわたる作品は、フランス革命までの中世からフランスの歴史を包括的に扱っています。ミシュレは、ギゾーと同じくロマン主義史学の潮流に属し、歴史を政治的・軍事的な出来事の単なる記録としてではなく、文化、社会、国民の精神の進化として捉えていました。
**レオポルト・フォン・ランケ著「ローマ教皇史」**
ランケは19世紀ドイツの歴史家で、近代的な史料批判の手法を確立した人物として知られています。彼の「ローマ教皇史」は、16世紀までのローマ教皇庁の歴史を、膨大な一次資料に基づいて客観的に描こうとした点で画期的でした。ギゾーはランケの史料批判の重要性を認識しており、「ヨーロッパ文明史」においてもその影響を見ることができます。
**トーマス・マコーリー著「イングランド史」**
マコーリーは19世紀イギリスの歴史家で、政治家としても活躍しました。彼の「イングランド史」は、1688年の名誉革命から1702年のウィリアム3世の死までのイングランド史を、生き生きとした筆致で描いた作品です。マコーリーは、ホイッグ党の立場から、立憲君主制と宗教的寛容を擁護し、ギゾーの自由主義的な歴史観と共鳴する部分がありました。