ギゾーのヨーロッパ文明史の仕組み
ギゾーのヨーロッパ文明史について
フランソワ・ピエール・ギゾーが1828年から1832年にかけて出版した『ヨーロッパ文明史』は、古代ローマ帝国の衰退からフランス革命期までのヨーロッパ文明の発展を、政治、社会、文化、宗教など多岐にわたる視点から叙述した歴史書です。
歴史叙述の枠組み:文明の進歩
ギゾーは歴史を、自由と理性に基づく「文明」が進歩していく過程として捉えました。彼はヨーロッパ史を貫く主要な要素として、
1. **ローマ文明の遺産:** ローマ帝国の法、政治制度、キリスト教が、その後のヨーロッパ文明の基礎を築いたとしました。
2. **ゲルマン民族の影響:** ローマ帝国に侵入したゲルマン民族は、軍事的な力だけでなく、自由と独立を重視する精神をもたらし、封建制や国民国家の形成に貢献したとしました。
3. **キリスト教の役割:** キリスト教はローマ帝国の没落後も人々の精神的な支柱となり、道徳や文化に大きな影響を与えた一方、教会の権力集中は自由と理性の発展を阻害する側面もあったとしました。
これらの要素が複雑に絡み合いながら、ヨーロッパ文明は進歩していくとギゾーは考えました。
歴史を動かす力:自由と理性の発展
ギゾーは、歴史の進歩を促す原動力として、「自由」と「理性」の二つを挙げました。
* **自由:** 個人や社会が外部からの強制を受けずに、自らの意志に基づいて行動できる状態。
* **理性:** 人間が生まれながらに持っている、物事を論理的に思考し、判断する能力。
ギゾーは、歴史の中で人々が自由と理性を追求することで、政治制度や社会構造が変化し、文明が進歩すると考えました。
フランス革命の位置づけ
ギゾーは、フランス革命を自由と理性の発展における重要な転換点と位置づけました。フランス革命は、それまでのヨーロッパ社会に蔓延していた封建制や絶対王政といった旧体制を打破し、自由と平等に基づく新しい社会の建設を目指したと評価しました。
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