キルケゴールの死にいたる病の関連著作
**罪責意識とその病理** ヘルマン・ノイマン
ノイマンは精神分析家、特にフロイト派の立場で罪責意識の発生メカニズムとその病理について分析した人物です。
本書は、ノイマンが精神分析の臨床経験と文化人類学的知見を元に、罪責意識を「文明化の過程」と結びつけて論じたものです。
ノイマンは、人間が社会的な規範や道徳を内面化する過程で、自我が超自我という「良心」を形成し、それが罪責感を生み出す源泉となると考えました。
本書では、原始社会の神話や儀礼、ユダヤ教やキリスト教などの宗教における罪の概念、そして現代社会における神経症や犯罪など、様々な事例を分析することで、罪責意識の複雑な様相を浮き彫りにしています。
**不安** セーレン・キェルケゴール
キルケゴール自身が「死にいたる病」と密接な関係を持つテーマとして扱ったのが「不安」です。
本書は、実存主義哲学の先駆者とされるキルケゴールが、人間の自由と選択の責任がもたらす「不安」という感情を、哲学的、心理学的、そして神学的視点から深く掘り下げた著作です。
キルケゴールは、不安を単なるネガティブな感情として捉えるのではなく、人間存在の根源に関わる不可避な要素、可能性への開かれと自由の代償として捉えました。
彼は、アダムの楽園追放の物語を引き合いに出し、人間が自由意志と自己意識を獲得した瞬間に、無限の可能性と同時に、それに対する責任と不安に直面せざるを得なくなったと論じています。
**自由への道** エーリヒ・フロム
フロムは、人間性回復のために「積極的な自由」を獲得することの重要性を説いた社会心理学者です。
本書は、全体主義の台頭や第二次世界大戦といった歴史的背景を踏まえ、現代社会において多くの人々が「自由からの逃走」という現象に陥っていることを指摘し、真の自由へと至るための具体的な方法を提示しています。
フロムは、キルケゴールと同様に、自由には責任と不安が伴うことを認めながらも、それらを克服し、自己実現と愛に基づく「積極的な自由」を達成することこそが、人間としての成長と幸福につながると主張しています。
彼は、自己認識、自発性、理性、良心、愛といった人間の持つ能力を最大限に発揮することで、自由を肯定的に捉え、主体的に人生を創造していくことができると説いています。