## キャロルの鏡の国のアリスの表現
鏡像表現
作品全体を通して、鏡像表現が効果的に用いられています。チェス盤、時計、本など、現実世界のものが鏡像化して登場し、アリスを混乱させます。
例えば、第一章では、部屋にあるものが全て左右反転していることにアリスは気づきます。また、時計は逆回転しており、本は鏡文字で書かれています。これらの描写は、鏡の国が現実世界とは異なる法則で成り立っていることを読者に印象付けます。
チェス
チェスは物語の重要なモチーフとして登場し、アリスの冒険はチェスのルールに沿って進行します。
アリスは、白のポーンとしてチェス盤の世界に入り込み、女王になることを目標に、マス目ごとに異なる冒険を経験します。各章の始まりには、チェスの駒の動きが記譜法で示され、物語とチェスの展開がリンクしています。
言葉遊び
キャロルは、言葉遊びの名手として知られており、本作でもナンセンスな会話や言葉遊びが多用されています。
例えば、ハンプティ・ダンプティとの会話では、言葉の定義や意味について議論が交わされますが、最終的には言葉の曖昧性や多義性が浮き彫りになります。また、トゥィードルダムとトゥィードルディーの詩「セイウチと大 Carpenter」も、ナンセンスな言葉遊びが特徴的です。
登場人物の擬人化
動物や物が擬人化され、人間のように会話したり、行動したりする描写が特徴的です。
例えば、白ウサギはチョッキを着て懐中時計を持ち、人間のように時間に追われています。また、花たちは会話し、アリスを人間扱いしません。これらの擬人化を通して、人間社会の風刺や、常識を覆す視点が表現されています。