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キケロの老年について

## キケロの老年について

### 1. 老年に対する一般的な偏見への反論

キケロはこの著作の中で、老いに対する一般的なネガティブなイメージを払拭しようと試みています。当時のローマ社会では、老いは肉体的衰えや精神的無力さ、社会的な無用さと結びつけられていました。キケロは、老いによって失われるものがある一方で、経験や知恵、判断力など、若者にはない価値が生まれることを強調しています。

### 2. 老年期の幸福のための条件

キケロは、老年期を幸福に過ごすためには、以下の四つの要素が必要であると説いています。

1. **肉体的快楽の抑制:** 肉体的快楽への執着は、老いとともに衰える肉体の苦痛を増大させる。むしろ、精神的な喜びに目を向けるべきである。
2. **精神的な活動の継続:** 学習意欲や好奇心を持ち続け、知的な活動に従事することで、精神の若々しさを保つことができる。
3. **社会への貢献:** 政治や教育などを通して、自らの経験や知識を社会に還元することで、老年期にも社会の一員としての役割を果たせる。
4. **死への準備:** 死は自然なものであり、恐れるべきものではない。むしろ、死を意識することで、今をより良く生きることができると説く。

### 3. 老年期の具体的な過ごし方

キケロは、老年期の具体的な過ごし方として、農業を推奨しています。農業は、自然と触れ合いながら、適度な運動と精神的な充実感を得られるからです。また、友人との交流や読書も、老年期の楽しみとして挙げられています。

### 4. カトーの人物像を通して描かれる理想的な老年像

キケロは、対話形式で書かれたこの著作の中で、ローマの偉大な政治家であり、老年期まで活発に活動したカトーを対話の相手に設定しています。カトーは、キケロの理想とする老年像を体現した人物であり、彼の言動を通して、老いてもなお幸福で充実した人生を送ることができることを示唆しています。

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