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キケロの老年についての話法

## キケロの老年についての話法

### 対話篇という形式

 本書は、キケロが晩年に書いた哲学対話篇という形式をとっています。紀元前44年の作品であり、執筆当時のキケロは62歳でした。作中では、紀元前150年の出来事が語られており、登場人物は全員故人となっています。

### 登場人物と役割

 主な登場人物は以下の3名です。

* **カトー:** ローマの政治家、軍人。厳格な倫理観と質素な生活で知られる。85歳で死去。
* **レイリウス:** ローマの政治家、軍人。雄弁家として知られる。78歳で死去。
* **スキピオ:** ローマの軍人、政治家。第三次ポエニ戦争で活躍。カトーの娘婿。

 対話篇は、スキピオとレイリウスが、老齢をどのように過ごすのがよいかについて、カトーに意見を求める形で進みます。カトーが老いに対する自身の見解を語り、スキピオとレイリウスが時折質問や相槌を打つことで対話が展開されます。

### 語り口調の特徴

 本書は、カトーの視点から老いについて語られます。カトーは自身の経験や知識を踏まえながら、老いの肯定的な側面を雄弁に語ります。

### 比喩や例示の多用

 抽象的な議論を避けるため、具体的な比喩や例示を多く用いています。例えば、老いを「熟した果実」や「収穫の季節」にたとえることで、老いが人生の衰退期ではなく、完成期であることを表現しています。また、歴史上の偉人たちのエピソードを引用することで、老後も社会に貢献できることを示しています。

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