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キケロの老年についての技法

キケロの老年についての技法

対話形式

本書は、キケロが77歳の時に書いたとされる『老年について』を、彼の友人であるカトー、スキピオ、ライリウスという三人の人物による対話形式で構成されています。 老いをテーマとした深い考察を、登場人物たちの自然な会話を通して読み進めることができます。

理想化された人物像

対話の語り手であるカトーは、ローマ共和政の理想的な政治家として、当時の人々から広く尊敬を集めていた人物です。 キケロはカトーを対話の相手に据えることで、老いの肯定的な側面をより説得力を持って読者に提示することに成功しています。

豊富な引用と先人の例示

キケロは作中で、ギリシャ・ローマの詩や哲学、歴史から豊富な引用を駆使し、老いに対する様々な見方を提示しています。 また、ソクラテスやプラトンといった偉人たちの晩年のエピソードを紹介することで、老いてもなお精神的な成長を遂げることが可能であることを雄弁に語っています。

具体的な反論と論証の展開

老いに対する一般的な否定的イメージ、例えば「肉体的衰え」「社会的地位の喪失」「死への恐怖」といったものに対して、キケロはカトーの口を通して具体的な反論を展開していきます。 例えば、肉体的衰えについては、精神的な楽しみによって補うことができるとし、歴史や文学の探求、そして友情の重要性を説いています。

自然の摂理との調和

キケロはストア哲学の影響を受け、老いを自然な摂理の一部として捉え、受け入れることの重要性を説いています。 老いは人生における一つの段階であり、死はすべての人間に訪れる避けられないものであると諭しています。

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