## キケロの老年についての批評
古代ローマにおける受容
キケロの『老年について』は、紀元前44年に書かれた哲学対話篇であり、古代ローマ社会においては概ね好意的に受け入れられたと考えられています。老いという普遍的なテーマを扱っており、当時のローマ社会における老人の役割や価値観を反映していたため、共感を呼びやすかったと考えられます。
ルネサンス期における再評価
ルネサンス期に入ると、『老年について』は人文主義者たちによって再評価されました。 キケロの文章の美しさや、理性と徳を重視するストア哲学の影響を受けた内容が、ルネサンス期の思想と共鳴したためです。 ペトラルカなどの人文主義者たちは、キケロの作品を模範としてラテン語の古典の復興を目指しました。
近代以降の解釈
近代以降、『老年について』は、老いに対する哲学的考察、歴史的資料、文学作品として、様々な視点から研究されてきました。 特に、老いの肯定的な側面を強調している点、死に対する心の準備の重要性を説いている点などが注目されています。 また、キケロ自身の晩年の政治的な苦悩や、息子への教育に対する思いなどが読み取れる作品としても、研究対象となっています。