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キケロの老年についての位置づけ

## キケロの老年についての位置づけ

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著された時代背景とキケロの状況

「老年について」は、紀元前44年にマルクス・トゥッリウス・キケロによって執筆されました。当時ローマは共和政末期であり、カエサルが暗殺された後の政情不安定な時期でした。キケロ自身も政界から引退を余儀なくされ、私生活では娘トゥッリアを亡くした直後であり、悲嘆に暮れていました。

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対話篇としての形式

本書は、紀元前150年のギリシャを舞台とし、実在した人物であるカト・ケンソリウスを語り手とした対話篇という形式をとっています。高齢になっても矍鑠としていたカトが、老いを恐れる友人たちに、老年期の過ごし方や幸福について説くという構成です。

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主題と内容

「老年について」は、老いに対する一般的な否定的見解に反論し、老年期がもたらす肯定的な側面を論じた哲学的エッセイです。具体的には、老いは必ずしも幸福を阻害するものではなく、知恵や精神的な充実をもたらす可能性を秘めていることを、カトの口を通して説いています。

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ストア哲学の影響

本書には、ストア哲学の影響が色濃く反映されています。ストア哲学では、理性に従って生きることを重視し、情動に左右されない心の平静を目指しました。キケロもまた、ストア哲学に傾倒しており、「老年について」においても、老いによる肉体の衰えを受け入れ、知的な活動に喜びを見出すことの重要性を説いています。

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後世への影響

「老年について」は、古代ローマにおいて広く読まれ、後世の思想家や文学者にも大きな影響を与えました。ルネサンス期には人文主義者たちの間で再評価され、老いを肯定的に捉える視点を提供する古典として、現代に至るまで読み継がれています。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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