## キケロの老年についてから学ぶ時代性
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古代ローマにおける老い
キケロが『老年について』を著したのは紀元前44年、彼が62歳の時でした。当時、ローマは共和制末期にあたり、政治的混乱や社会不安が蔓延していました。平均寿命が現代よりもはるかに短かったこの時代、60歳を超えることは稀であり、老いは衰退や無力さを連想させるものでした。
しかし、キケロはこの著作の中で、老いに対する当時の一般的な見方に異議を唱えています。彼は、老いには知恵や経験、精神的な成熟といった独自の価値があると主張し、高齢者が社会に貢献できることを示唆しました。
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時代を超えて共鳴する老いの課題
キケロは、老いに伴う肉体的衰えや健康問題、社会的な役割の喪失、死への恐怖といった課題にも目を向け、それらを克服するための方法を探求しています。彼は、老後の人生を豊かに過ごすためには、知的な活動や友情、社会貢献、精神的な成長が重要であると説いています。
これらの課題は、古代ローマに限らず、現代社会においても高齢者が直面する普遍的なものです。キケロの洞察は、時代や文化を超えて、老いという人生の段階と向き合うための指針を与えてくれます。
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現代社会への示唆
現代社会は、高齢化が進み、高齢者の数はかつてないほどに増加しています。キケロの『老年について』は、高齢者が自身の経験や知恵を生かして社会に貢献できること、そして老後の人生を豊かに過ごすために積極的に努力することの重要性を改めて認識させてくれます。