## キケロの義務についての世界
義務の源泉
キケロは、人間の理性にこそ義務の源泉があるとしました。自然の摂理に従って生きることが、人間にとっての義務であると考えたのです。
四つの枢要徳
キケロは、プラトンの思想を受け継ぎ、四つの枢要徳を重視しました。
* **知恵**: 事物の真理を見抜く力
* **正義**: 各人にふさわしいものを与えること
* **勇気**: 恐れずに正しいことを行うこと
* **節制**: 欲望を抑え、中庸を保つこと
義務の分類
キケロは義務を、以下の二つの基準で分類しました。
* **義務の対象**: 自分自身に対する義務と、他者に対する義務
* **義務の程度**: 完全義務と不完全義務
義務の衝突
現実の社会では、異なる義務が衝突することがあります。キケロは、そのような場合、より上位の義務を優先すべきだと考えました。例えば、自己保身よりも正義を優先すべきだと説いています。
政治における義務
キケロは、政治は「最大の義務」であると述べています。政治家には、国家と市民のために尽くす義務があると考えたのです。
義務と幸福
キケロにとって、義務を果たすことは、幸福に繋がる道でした。義務に従って生きることで、真の心の平安と幸福を得ることができると考えたのです。
『義務について』の影響
『義務について』は、古代ローマのみならず、後の西洋思想にも大きな影響を与えました。特に、キリスト教倫理との親和性が高く、中世から近代にかけて広く読まれました。