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キケロの義務についてとアートとの関係

## キケロの義務についてとアートとの関係

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キケロの「義務について」における美と有用性の関係

キケロは「義務について」の中で、人間の行動の指針となるべき徳を論じています。彼は、徳は「自然に従うこと」にあり、それは理性に従って行動することであると説きます。そして、理性に従うことは、私たちに自然と備わっている二つの欲求、すなわち「自己保存の本能」と「共同体への参加と維持への欲求」を満たす行動をとることであると説明します。

この考えに基づき、キケロは名誉、栄光、富などの外的なものを目的とするのではなく、それらを「適切に扱うべき対象」として捉えます。彼は名誉や栄光は、公共の利益のために活動することで得られるものであり、富は浪費や贅沢のためではなく、公共の福祉のために使われるべきものであると主張しました。

キケロは、これらの外的なものを「適切に扱う」ためには、知恵、正義、勇気、節制という四つの主要な徳が必要であると説きます。そして、これらの徳に基づいて行動することが、結果として名誉や栄光、富をもたらすことになるとしました。

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「義務について」における具体的なアートへの言及

「義務について」の中で、キケロは具体的なアートの形態については多くを語っていません。しかし、彼の哲学は、アートに対するある種の視点を示唆しています。

例えば、キケロは雄弁術を高く評価しており、それを公共の利益のために効果的に使用できると考えていました。雄弁術は、人々を説得し、正しい行動へと導く力を持つものであり、それはキケロの考える「自然に従う」こと、すなわち理性に従って行動することに繋がるものでした。

また、キケロは詩や演劇などの芸術も、人々の精神を高揚させ、徳を涵養する力を持つものとしてある程度評価していました。ただし、彼は芸術の娯楽的な側面を認めつつも、それが過度に追求されることには警鐘を鳴らしています。

キケロにとって重要なのは、あくまでも「自然に従う」ことであり、芸術はそのための手段として捉えられていたと言えるでしょう。

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