Skip to content Skip to footer

キケロの義務についてから学ぶ時代性

## キケロの義務についてから学ぶ時代性

###

ローマ社会の価値観を映す鏡

キケロの『義務について』は、ストア哲学の影響を色濃く受けながらも、当時のローマ社会における倫理観や道徳観を如実に反映した書物と言えるでしょう。名誉を重んじ、公共の利益を優先するローマ人としての生き方が、具体的な事例や逸話を交えながら説かれています。

例えば、国家への奉仕を義務の中でも最も重要なものと位置づけ、政治への積極的な参加を奨励しています。これは、広大な領土を支配するローマにおいて、個人の利益よりも国家全体の安定と繁栄が優先されるべきという、当時の社会通念を反映しています。

###

普遍的な倫理と時代背景の狭間

キケロは、ストア哲学の普遍的な倫理観に基づき、理性に基づいた行動、正義や節度、勇気といった徳の重要性を説いています。これらは時代を超えて共感を得られる普遍的な価値観と言えるでしょう。

一方で、奴隷制が当然視されていた時代背景から、現代の私たちから見ると倫理的に問題があると感じる記述も見られます。これは、普遍的な倫理と特定の時代背景における価値観との間にある葛藤を浮き彫りにしています。

###

現代社会におけるキケロの倫理

キケロの倫理観は、現代社会においても示唆に富む点が多いと言えるでしょう。特に、公共心や共同体への貢献を重視する点は、個人主義が進む現代社会において、改めて見直されるべき価値観と言えるかもしれません。

しかしながら、現代社会はローマ時代とは比較にならないほど複雑化しており、そのまま適用するには無理があります。キケロの倫理観を現代に活かすためには、時代背景や文化の違いを踏まえた上で、その本質を見極める必要があると言えるでしょう。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5