## キケロの弁論術についてと言語
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弁論術における言語の重要性
キケロは、古代ローマの政治家、哲学者、そして最も優れた弁論家の一人として知られており、彼の著作『弁論術について』(De Oratore)の中で、弁論術における言語の重要性を説いています。 キケロは、優れた弁論家は単に事実に精通しているだけでなく、聴衆を魅了し、説得し、感動させるために適切な言葉を選択し、巧みに操る能力を持たなければならないと主張しました。
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三つの文体と適切な言語
キケロは、『弁論術について』の中で、アリストテレスの影響を受けながら、弁論における三つの文体を提唱しています。 それは、簡明な文体(genus humile)、中庸な文体(genus medium)、そして壮麗な文体(genus grande)です。 それぞれの文体は、異なる目的と状況、そして異なる聴衆に適しており、効果的な弁論のためには、それぞれの文体にふさわしい言語を選択する必要があるとキケロは説いています。
* **簡明な文体**: 簡明な文体は、日常的な言葉遣いを特徴とし、明快さと簡潔さを重視します。 この文体は、事実を明確に伝えたり、議論を論理的に展開したりする際に適しています。
* **中庸な文体**: 中庸な文体は、簡明な文体と壮麗な文体の中間に位置し、優雅さと明瞭さを兼ね備えています。 この文体は、聴衆を魅了し、共感を呼ぶ際に効果を発揮します。
* **壮麗な文体**: 壮麗な文体は、華麗な修辞技法や格調高い語彙を駆使し、強い感情や情熱を表現します。 この文体は、聴衆を感動させ、行動を促す際に特に有効です。
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修辞技法と言語の装飾
キケロは、効果的な弁論のためには、多様な修辞技法を駆使して言語を装飾することが重要であると考えていました。 彼は、隠喩、直喩、反復、対句、疑問文などの修辞技法を詳細に分析し、それぞれの技法の効果的な使い方を解説しています。 キケロは、これらの修辞技法を適切に用いることで、言語に力強さ、美しさ、そして説得力を与えることができると考えていました。