キケロの共和国に影響を与えた本
プラトンの国家
キケロの「共和国」は、古代ギリシャの哲学者プラトンの作品、特に「国家」から大きな影響を受けています。対話形式で書かれた「国家」は、ソクラテスとその弟子たちが正義、秩序、理想国家について議論する様子を描いています。プラトンの正義と統治に関する哲学的考察は、「共和国」におけるキケロ自身の考えに大きな影響を与えました。
「国家」で展開された影響力のある概念の一つに、哲人王の概念があります。プラトンは、真の知識と知恵を持つ哲学者だけが、正義と調和に基づいて社会を統治できると主張しました。この考えは、キケロが「共和国」の中で表明した、賢明で有徳な人々によって統治されるべき理想的な国家というビジョンに共鳴しました。キケロはプラトンと同じように、そのような統治者たちが、自分たちの利益よりも共通の利益を優先し、法律の支配と正義の原則を支持すると考えていました。
さらに、キケロの「共和国」における混合政体への支持は、プラトンが「国家」で述べた考えの影響を受けています。プラトンは、君主制、貴族制、民主制の要素を組み合わせた政体が、権力の集中や極端な状態を防ぐために不可欠であると主張しました。キケロもこの考えを採用し、ローマ共和国を混合政体の例として挙げました。ローマ共和国では、執政官は君主制の要素を、元老院は貴族制の要素を、民会は民主制の要素をそれぞれ体現していました。キケロは、このバランスと権力の分立こそが、ローマの安定と成功の鍵であると考えていました。
プラトンの「国家」の影響は、「共和国」全体に見られる政治哲学的議論以外にも、キケロが用いた主題や文学的技法にも表れています。例えば、キケロは自分の政治哲学を、ソクラテスとその弟子たちのように、架空の対話形式で提示しています。さらに、キケロは、魂の不死や宇宙における人間の位置づけなど、「国家」で議論されているプラトンの哲学的概念をいくつか取り上げています。これらのテーマは、キケロの政治哲学の中核ではありませんが、「共和国」に哲学的な深みと複雑さを加えています。
結論として、プラトンの「国家」は、キケロの「共和国」の形成に重要な役割を果たしました。プラトンの正義、統治、理想国家に関する考えは、キケロ自身の政治哲学を形作り、混合政体への支持と賢明で有徳な人々による統治の必要性についての信念に影響を与えました。さらに、「共和国」の対話形式と哲学的議論は、プラトンの著作に直接影響を受けていることがわかります。2 つの作品の間の類似点は、古代ギリシャの思想がローマの政治思想に与えた永続的な影響を証明しており、西洋の政治哲学の形成に貢献した重要な著作としての「共和国」の地位を確固たるものにしています。