## キケロの共和国についての構成
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第1巻
紀元前106年に執政官を務めた重要な政治家スキピオ・アエミリアヌスの別荘を舞台に、紀元前129年の5日間が描かれています。登場人物は、スキピオとその友人、親戚などです。
第1巻は、老年期のガイウス・ラエリウスと若い頃のプブリウス・スルピキウス・ガルスの会話から始まります。ガルスは、スキピオが月食について語るのを聞いて、月食の規模について尋ねます。この質問から、スキピオは宇宙の構造、地球とそこに住む人間の小ささ、魂の不滅性について論じます。
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第2巻
第2巻では、最適な政体についての議論が展開されます。各対話者は、君政、貴族政、民主政の長所と短所を分析します。スキピオは、それぞれの政体には固有の欠陥があると主張し、ローマのように、君主制、貴族制、民主制の要素を組み合わせた混合政体が最良であると結論づけます。
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第3巻
第3巻は、正義と政治におけるその役割についての議論に焦点を当てています。特に、プラトンの『国家』に登場する「ギュゲスの指輪」の物語に触れながら、不正はたとえ罰せられなくても、それ自体が悪であると主張します。
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第4巻
第4巻は、ローマの習慣、教育、そして偉大な指導者の育成について議論します。ローマの伝統的な価値観と教育が、過去の偉大な指導者を生み出したと主張し、それらの価値観の重要性を強調しています。
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第5巻
第5巻では、理想的な政治指導者の資質について議論します。スキピオは、理想的な指導者は知恵、正義、勇気、そして自制心を備えている必要があると主張します。そして、ローマの歴史上の偉大な人物を例に挙げながら、これらの資質の重要性を説明します。
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第6巻
第6巻は、「スキピオの夢」として知られる寓話で終わります。夢の中で、スキピオは天国に昇り、祖父であるスキピオ・アフリカヌスと再会します。アフリカヌスは、彼に宇宙の壮大さと魂の不滅性について語り、祖国への奉仕の重要性を説きます。
**注:** キケロの『共和国』は、断片的にしか現存していません。特に第2巻と第3巻は大部分が失われており、その内容は他の古代の文献や引用によってのみ知ることができます。